わたしは病院で長年、つとめました。
そして2年前に退職し、
絵の仕事をはじめました。

 

もっとはやく絵の仕事をしていたら
いまの状況はかわっていたかもしれない
と思ったときがありました。

人生をやりなおせたら…
と思ったことがありました。

 

 

車で走っていたとき
道路工事をしていました。

通行時間制限があり
約50分ほど待たなければいけない…

すると工事のおじさんが
迂回路があることを教えてくれました。

 

50分待つか…
迂回するか…

迂回することにしました。

 

はじめて通る迂回の道…

木の枝が道へしだれかかり
せまくて、くねった道。

対向車がくると
容易にはすれ違えない道。

ガードレールが
ところどころしかない崖のうえの道。

対向車がこないことを祈りながら
まえだけをみて走りました。

ようやく本通りへ。

無事にでられたことにほっとしました。

 

このとき、
いまのわたしのようだと思いました。

 

いまわたしは
すきな絵を描く仕事をしています。
とてもしあわせです。

迂回の道は
わたしにとっては険しく苦しいものでした。

 

迂回の道を通らなければ…

でも
もし迂回の道を通らなかったら
いまのしあわせなわたしはいるだろうか…

 

もしかしたら
絵の仕事をやめているかもしれない。

大切な人たちとの出会いは
なかったかもしれない。

人生についてなにも考えず
味気のない毎日を
おくっていたかもしれない。

 

この人生だったからこそ
いまのわたしがあり

いままでいろいろと
考え悩んできた人生だったからこそ
いまのわたしの絵がある。

 

最終地点までの道を、
着実に完成にむかって
線を
色を
わたしは描いている。

描いている途中には
なんどもなんども
線や色をつけ加えていく迂回の道が
あってもいい。

 

いろんな線や色を加え
たどりついた世界はきっと楽しく、
たくさんの色が調和した最高の世界

 

迂回の道は
わたしに人との出会い、優しさ
自然にもどること
いろんなことを教えてくれました。

険しく苦しい道でも

誰かと
出会い、すれ違い、同じ道を進み、
ときには道をゆずりあい、

まわりの景色と人生を重ねあわせ、

走ることに
慎重になったり、自信をつけたり、

そしてすべての経験で
いまの自分を大切に思える。

 

ここまでの人生がやりなおせるとしても
わたしはこの道をえらびます。